クラシック音楽鑑賞のマナーについて

コンサートホール

1 広島交響楽団と、コンサートへ通う楽しみ

ライブやコンサートなどのエンタメ業界では「広島飛ばし」なんてことが言われて久しいですが、絶対に広島を飛ばさない演奏団体があります。それは他でもない地元広島のプロ・オーケストラ、広島交響楽団です。(そりゃ飛ばさんわな…)

チケットの値段は数千円とそれなりにしますが、映画と違って聴き直すことができない、その場限りの一期一会の演奏ですので、映画の2~3回分のチケット代と考えれば決して高いとまでは言えません。もちろん満足感のある質の高い演奏であることが大前提ですが。(海外オケの来日公演だと安い席でも3万前後とか普通と聞きますけど、まああれも自分から海外へ聴きに行く手間を考えれば…)

私自身、子供のころから、広島交響楽団の定期演奏会を時々ですが聴きに行っていました。もう十年以上前のことですが、終演後何気なくアンケートに記入して帰りに投函したら、後日その日の指揮者だった音楽監督の秋山和慶さんの直筆サインが届いたなんてことも。今となっては宝物です。

2 静寂も含めて音楽を聴くということ

ところで、少し前、コンサートを客席で聴いていて気が付いたのですが、曲の音が小さくなるたびに客席からゴホン、ゴホンと咳払いをする音がホールのあちこちから聞こえてきます。昔からそういう音はそれなりにありましたけど、最近は特にひどくなっている気がします。ビニール袋の音をわざとくしゃくしゃ鳴らしている人もいて、一体何を考えているのか理解に苦しみます。

これが映画館だと、よほど子供向けの映画でもない限り、シリアスな無音のシーンはちゃんと無音なんですよね。クラシックのコンサートで当たり前に聞かれるゴホンゴホンという咳ばらいをしている人は映画館には一人もいません。ポップコーンをむしゃむしゃ食べてる人の咀嚼音がたま~に気になる程度です(それはそれでイヤですが)。

映画の観客が普通にできていることがクラシックの観客にはどうしてできないんでしょう。

当人としては、もしかすると緊張をほぐしたいという軽い気持ちからなのかもしれません。ただ、自分の周囲のせいぜい半径数十センチくらいにしか聞こえていないだろうと思っているその咳払いは、実は客席の隅々にまで響き渡っています。

音楽での弱音や無音の部分は、むしろその緊張感こそが大切なのではないかと思っています。呼吸するのも忘れるくらいの緊張感で聴き入ってこそ、その箇所を聴き切った時の解放感もまた何倍も大きなものになります。

演奏者はこれ以上ないくらい集中して弾いているのですから、聴く方も集中して聴くべき箇所はちゃんと集中して聴きましょう。緊張ほぐしちゃダメ絶対!!

それと、静寂を大切にしてほしい場面は、演奏中だけではありません。演奏が終了した瞬間にわざとぶっ込まれるフライングの拍手やブラボーなんかも、それが粋だと思い込んでいる人が(本来の意味で)確信犯的に行う例はむしろ増えている気がします。そういうのが自然に受け入れられるような曲であればいいのですが、荘重な曲や最後消え入るように終わる曲では、全てがその一人のせいでぶち壊しになります。なぜ毎回、高いお金を払ってまで曲が台無しにされるのをわざわざ会場まで聴きに行かなければならないのか…そりゃコンサートに行かなくもなるわけですわ。

聴き手の良識に訴えかけるのももはや限界なのかもしれません。そのうち映画館みたいにマナー動画の上映がコンサートでも当たり前になる時代が来たりして。それはそれでやっぱりイヤなのですが。せめて映画泥棒みたいに愛すべき個性的なキャラクターがいればいいんですけど…

(デジタル戦略課 M記)

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